政策×デザイン 第一歩を踏み出そう!JAPAN+D Dialogue vol.1 開催しました
こんにちは。一人一人が自分と社会の価値をデザインする国づくりに携わりたいと思い公務員になったJAPAN+Dの宇津木です。
総務省入省時から「バリューデザイナー」を名乗り、硬直的な政策作りと執行に留まらない、人間的感性を重視した創造的な、「アートとしての行政」の必要性を訴えてきました。当時はなかなか聞く耳を持ってくださる方はいませんでした。
が、幸運ってあるんですね。内閣府知的財産戦略事務局在任中、人事とミッションの巡り合わせで、国家戦略としての「価値デザイン社会」を掲げる『知財戦略ビジョン』の策定や、組織や個人が自己の価値をデザインする「経営デザインシート」の開発をさせていただくことができました。
そしてこの頃から経産省の今のJAPAN+Dのメンバーとの交流が始まり、以来意気投合、昨年度からJAPAN+Dに参画しています。色々な意味で縦割りと言われる霞ヶ関にあって、これからもJAPAN+Dは出身省庁の壁を越えたALL 霞が関そしてALL JAPANの取組にしていけるよう頑張っていきます‼
さて、本題です。前の記事でもありましたとおり、私たちJAPAN+Dは1月20日、政策デザインの現在地を語ることをテーマにした政策対話イベント「JAPAN+D Dialogue vol.1 ~「政策×デザイン」の現在地~」を開催・配信しました。
この記事では、イベントの目的と内容をご紹介し、国や自治体で、また国や自治体と一緒に政策づくりに参画している行政職員やデザイナー等の皆様に、ご自分のプロジェクトで「政策×デザイン」の第一歩を踏み出すためのヒントをご紹介します。最後までお付き合いいただければありがたいです。(文末にほんの少し、今後の活動展開のお知らせアリ!)
なお、当日の様子はJAPAN+D ちゃんねるにて公開中です。
(1)セッション1 政策デザインの意味と意義
セッション1は、改めて、なぜ今政策デザインなのか、政策デザインのオピニオンリーダーのお二人をお招きして対話を行いました。
【登壇者】
岩嵜 博論 さん(武蔵野美術大学 教授)
志水 新 さん(デジタル庁プロダクトデザイナー、 PolicyGarage理事/デザイナー)
【モデレーター(JAPAN+D)】
橋本 直樹(デジタル庁)、水口 怜斉 (経済産業省)
①なぜ政策や行政にデザインか?(岩嵜さんプレゼン)
岩嵜さんから、世界の政策デザインの事例のご紹介なども踏まえた、政策×デザインのゼロ点確認が行われました。
A:複雑で不確実
B:イノベーションが求められる
C:市民中心の政策形成が求められる
D:デジタル時代に適したプロセスが求められる
な時代への対応には、
a:やっかいな問題な問題に向き合える方法論
b:創造的な方法論
c:人間中心で共創に適した方法論
d:試行的な方法論
というデザインの特性が適しているんですね。
②行政におけるデザインの領域(志水さんプレゼン)
志水さんから、政策×デザインのフィールドの確認が行われました。
志水さんからは、国民と政府を繋ぐ
・広義の政策(法律・制度等)とは
・行政サービス(体験・業務・システム等)を含み
・それはインタラクション(プロダクト・コミュニケーション)
で国民にリーチするもの、という政策の全体像のご説明。
これら政策、行政サービス、インタラクション、それぞれの領域でデザインが求めらているんですね。
③セッション1のメッセージ
最後はJAPAN+Dメンバーも交じって、政策デザインの意味と意義について、こんなまとめをしてみました。
・デザインアプローチの意味:
ポスト工業社会において、市民のニーズを満たす政策と公共サービスの実現のための新しい方法論。
・デザインアプローチの導入思想:
隣の課の人と話すような取組からでOK。新しいテーマで小さく始めてみる。
・デザインアプローチの壁への対処:
カルチャーなんて常に変化してる!デザインは筋トレだ、スキル、マインド、組織文化は経験すれば向上する!
(2)セッション2 地域を変える政策デザイン
セッション2は、実際にデザインアプローチを駆使して地域で政策デザインに取り組んでいらっしゃるお二方をお招きして対話を行いました。
【登壇者】
田村 大 さん((株)リパブリック共同代表)、
小山田 那由他 さん((株)コンセントサービスデザイナー/コンテンツデザイナー)
【モデレーター(JAPAN+D)】
平山 由佳(経済産業省)、宇津木 達郎(総務省)
①地域にある壁にはひらかれた・出会いの場づくりが効く!
よく「人間性中心」主義ってデザインの世界で言いますが、現場には「前例主義」「机上企画主義」「組織・制度主義」といった色々な壁が立ちはだかっています。人間的な関係性ってどうしたら作っていけるでしょう?
色々な壁に向き合ってきた田村さんと小山田さんからは
・人が出会える「場」をつくること
・役場をひらかれた「場」にすること
と、お二方共に「場づくり」がキーワードとして提示され、具体的な事例を紹介していただけました。(兵庫県神戸市や鹿児島県薩摩川内市)
②ここで変わった!行政官のターニングポイント
そうした「場づくり」を行政が行うようになったきっかけを、お二人は
・従来の縦割りでは対処できないことを東日本大震災とコロナに思い知らされた
→虫の目だったレンズを鳥の目のレンズに付け替えることになった
→行政も失敗を恐れすぎなくなった
というご経験(東京都府中市、鹿児島県大崎町等)をシェアいただきました。
「活動のプロセスでよいところがあったとしても、行政職員は既存の枠組でとらえてしまい悪い面ばかり考えて良い面を驚くほど考えない」(小山田さん談)というマインドセットは、このような「どうしようもないと思われていた壁」に対処しなければならなくなったことで変わっていったのですね。
③セッション2のメッセージ 私たちはどうしよう? 最初の一歩を踏み出そう!
とは言え、そうした招くべきでない天災による変化を待つべきではないことは勿論ですし、変わらされるよりも自分たちの未来に向かって自分たちで変わっていきたいですよね。では、私たちができる・すべき、最初の一歩って何でしょう?お二人からはこんなご提案を頂きました。
・街に出よう、人に会おう、そしてその地域らしさを見つけよう
・発信(アウトプット)し、人と繋がることで、視座をメタ化しよう
こちらもお二人共通で「人とふれあう」ことって大事なんですね。
僭越ですが、JAPAN+Dのメンバーからも
・(自分の先には人がいることを思って)人を大事にしよう
・ワタシ(公務員も泣き笑う、そんな自分の感性)から始めよう
という意見を出させていただき、クロージングを迎えました。
(3)まとめ
昨年度、キックオフイベントJapan Policy Design Summit vol.0-デザインで変える「行政と私たちの未来」で皆様と初めて繋がらせていただいた私達は、今年度、他省庁への支援を含む政策作りの現場への伴走や、政策デザインのワークショップ開催、人材教育のための動画コンテンツなどの作成といった活動を進めているところです。
今回は、そうした私たちの歩みと、国内外の仲間たちの現在地の確認とご報告のためにこのイベントを開催しました。
これからも「最初の一歩」を大切にしつつ、皆様とのネットワークを拡大・深化させて、政策デザインの活動を進めていきます。
2023年3月には今年度の活動総括として、イベント”Summit vol.1”を開催する予定です。
上記政策づくり伴走の結果や、動画コンテンツなどのアウトプットもご報告させていただきたいと考えています。ご期待ください‼
皆さんと一緒に、涙も笑いもあるワタシタチとして、JAPAN+Dもがんばっていきますので、引き続きよろしくお願いいたします。
~スタッフ~
モデレーター:海老原史明(経済産業省)、沼本和輝(経済産業省)
橋本直樹(デジタル庁)、水口怜斉(経済産業省)
宇津木達郎(総務省)、平山由佳(経済産業省)
現地グラフィックレコード・総括説明:半澤彩(内閣官房)
現地バックアップ:吉田泰己(デジタル庁)
KESIKI 石川俊祐さん、九法崇雄さん、国枝将大さん、久保田耀介さん
FIELD MANAGEMENT EXPAND 伊藤拓馬さん、足利洋城さん
グラフィックレコード:久々江 美都さん