「行政×デザイン」の、幕開け。
こんにちは!JAPAN+Dの半澤です。
経済産業省に入省6年目で、現在は内閣官房に出向中。人間の感性やライフスタイルに着目した政策作りに関心があり、JAPAN+Dプロジェクトのメンバーとして活動しています。
さて、先日3月15日に、JAPAN+Dの幕開けとなるキックオフイベントが開催されました。 オンラインでの開催でしたが、たくさんのゲストや官僚の方々にご参加いただき、「行政×デザイン」のこれからの可能性が感じられるイベントとなりました。
今回のnoteでは、その様子をお伝えしていきたいと思っていますが、私がもともと漫画を読んだり描いたりするのが好きだったこともあり、初めてグラフィックレコード(絵で描く議事録、通称グラレコ)に挑戦してみました!そのグラレコと共に、イベントの熱量をお届けします。
Japan Policy Design Summit vol.0.
2022年3月15日、Japan Policy Design Summit vol.0-デザインで変える「行政と私たちの未来」-と題し、ひとに寄り添うやさしい政策の実現に向けて、キックオフイベントを開催しました。
プログラムとして、調査実証の成果報告のほか、国内外のデザインアプローチの最前線で取り組んでおられる方々とJAPAN+Dのプロジェクトメンバーとのトークセッション、日本におけるデザインアプローチの導入に向けたロードマップの発表を盛り込みました。
【当日のイベントアーカイブ動画はこちらから!】
01. INTRODUCTION&RESEARCH REPORT
まずは、私たちの取り組み趣旨と海外調査について、司会の内閣府・科学技術・イノベーション推進事務局の水口と九州経済産業局・地域経済課の中川から説明しました。
趣旨説明では、デザインのアプローチを、最終的なアウトプットとしてのグラフィック等だけではなく、立案過程から取り入れることで、もっとひとに寄り添う政策を行いたいという強い気持ちをお伝えしました。
海外調査で衝撃を受けたのは、すでにかなり多くの国々が行政にデザインを取り入れるための組織を持っているということです。日本はデザイン×行政においては各国に後れを取っていると感じました。
02. KEYNOTE SPEECH
続いて、行政×デザインの最先端を走る、デンマークデザインセンターのクリスチャン・ベイソンさんに、オンラインで特別に出演をいただき、「行政×デザイン」におけるポイントをお話しいただきました。
実際にリサーチをしていてデンマークの政策プロセスに感銘を受けたメンバーが、クリスチャン・ベイソンさんに直談判し、ゲストスピーチが実現。メンバーもわくわくする気持ちでスピーチを聞き込みました。
最後には、日本の行政デザインに向けての熱い激励をいただきました。
03. TALK SESSION 1
1つ目のトークセッションでは、ヒューマンセンタードデザイン(HCD)の視点から、行政の陥りがちな課題や今後の改善点について、KESIKI・九法崇雄さんがモデレーターを務め、RE:PUBLIC・市川文子さん、KESIKI・石川俊祐さん、RIETI(経済産業研究所)の西垣淳子さんで意見を交わして頂きました。
特に、市川さんが話されていた「ユーザーセンタードとヒューマンセンタードの違い」は行政官の視野をぐぐっと広げる話でした。
04. TALK SESSION 2
2つ目のトークセッションでは、AISの増田睦子さんをモデレーターとして、特許庁の橋本直樹さん、内閣官房内閣人事局の谷口健二郎さん、Policy Garageの津田広和さんから、デザイン留学の経験を活かし、実際にいま、霞ヶ関の各所で取り組んでいる行政へのデザインアプローチ導入について紹介いただきました。
基本的には職員は皆、社会や人の生活を良くしたい!と思って公務員を志しているので、その内に秘めた思いをどうユーザーや組織に伝えていくかというお話は私自身も大変勉強になりました。
05. TALK SESSION 3
3つ目のトークセッションでは、KESIKIの石川さんをモデレーターとして、Takramの田川欣哉さん、デジタル庁の浅沼尚CDO、経済産業省の飯田裕二官房長というメンバーで、今の霞ヶ関にどうデザインアプローチを導入していくのかという点についてディスカッションして頂きました。
コロナ禍やデジタル化によって、行政とユーザーの距離や関わる範囲は今までとは変わってきている、その中で、どの分野でデザインアプローチが効果を発揮するのか、デザインアプローチを通して、何を目指すのかという議論も交わされました。
06. NEXT STEP
最後に、JAPAN+Dの沼本から「やさしい行政」へのロードマップを発表しました。
JAPAN+Dでは、政策づくり、組織づくり、仲間づくりの3つの観点から霞ヶ関内外でのデザイン×行政のうねりをより大きいものにしていきたいと考えています。
イベント総括
今回、JAPAN+Dの一人一人が大事だと思い、調査や検討を進めてきたことを初めて公の場に披露させていただきました。800人近い方々から参加申し込みをいただき、同時配信していたYouTubeのコメント欄でも活発に意見が交わされ、今後の行政×デザインアプローチへの期待感を強く感じました。
また、会場ではご登壇者のみなさんの溢れる思いと熱意が重なって次々と議論が交わされ、熱量があがりっぱなしの2時間でした。
初めてのグラレコは、「話の内容、全部大事…!」と思う中で、何を捨て、何を拾い、どうわかりやすく絵にするか、ということを即座に判断して描き残す難しさもありましたが、楽しかったです!
<筆者自己紹介>
半澤 彩 / AYA HANZAWA
経済産業省入省6年目。現在、内閣官房に出向してTPPを担当。制度や振興政策といった仕組みを作る人たちの中で、実際に中で動く人間の、内面の感性やライフスタイルに着目する視点がより重視されるようになってほしいという想いでJAPAN+Dプロジェクトに参画。
(写真右下紫の服が半澤です)
漫画好きが転じて、人の心の動きや行動原理に興味を持ち、大学では文学部に進学し、日本史学を専攻。人文学は職場でも少数派ですが、社会に何らかのアプローチをする時に、社会を構成している人の内面を読み解こうとする視点はもっと大切なのではと考えていたところ、視点を同じくするデザインという考え方に出会い、まさに政策が+αで必要としていたピースだと感じました。
時には、私たちも一ユーザーとして政策を使う側に回りますが、デザインアプローチを通して、その時に感じる政府との距離をより縮めていけるような行政にしていきたいと思います。