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「行政 × デザイン」 、はじまります。


はじめまして! 

私たちは、経済産業省に所属する公務員を中心とした、部署横断、省内外のメンバーが集う有志チームです。

このたび、日本の行政にデザインアプローチを取り入れる「JAPAN+D(ジャパンプラスディー)」というプロジェクトを立ち上げました。

行政プロセスへの課題意識をもった仲間が集結。


私たちは、国家公務員として日本の未来に貢献できることに、やりがいと誇りを感じながら、日々、政策立案と実行に邁進しています。

ただ、同時に、現状の政策立案や実施のプロセスやアプローチに、大きな課題も感じています。

この政策は、本当に課題解決に繋がっているだろうか?

改善の方向は、こっちで合っているだろうか?

政策に込めた想いも、きちんと届けられているだろうか? 


また、ユーザーの課題を明確にし、それを解決する政策を立案したいと考えているものの、そもそも真の意味での課題を発掘できていないのではないかという不安もあります。

対象範囲が広く、ユーザーとの距離が遠いため、直接対話することが難しいことがその要因のひとつではないか?

行政がユーザーの立場に立った伝え方・届け方が不得意であることが、その距離が拡大する一因ではないか?

そんなもやもやとした問いを持った職員同士が、課題感を共有し合ったことがきっかけとなり、次第にその共感の輪が広がり、経済産業省内外で20人を超える有志メンバーが集まりました。

220314_JPDSメンバー表

注目したのは「デザインアプローチ」。


上記のような課題を解決する方法として、私たちが日本の行政プロセスに取り入れるべきだと考えたのが、“デザイン”のアプローチです。

私たちの考えるデザインアプローチの力とは、表層的なデザイン(外形を整える)という意味ではありません。

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日本ではデザインと聞くと広告やプロダクトがイメージされがちです。しかし、それはデザインの対象領域の一部に過ぎません。

本来のデザインは、「本質的な価値を見出し、価値を最大化させること」です。

これまでの行政プロセスでは、「デザイン」を表層的な部分でしか活用できていませんでした。

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課題を設定し、政策をつくった後、人々に伝える手段として、パンフレットやウェブサイトなどの形をアウトプットする。その時にようやく、限定的にデザインが使われていました。

しかし、私たちは、これからの行政において、実態の把握から、ユーザーへ届けるところまで、すべてにおいてデザインアプローチを活用していくべきだと考えています。


本質的なデザインアプローチとは、

「常にユーザーである人を中心にして考えることで、課題の解像度が上がり、これまでにない人との課題共有と、フラットな立場での解決策の共創に繋がる」

ことだと、私たちは考えています。

これまでの行政プロセスによる政策が”プランA”だとしたら、デザインアプローチによって、”プランD”を模索してみたいのです。

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たとえるなら、「ウロウロアリ」。

通常の行政の在り方を、確実性・秩序・効率性を重視するものとすると、そこでの働き方は、まるでエサのありかを明確な答えとして持っている「働きアリ」のよう。 

わたしたちは、新規性・意外性・創造性を重視して、新たな情報から変化の兆候を取り入れる「ウロウロアリ」にもなりたい。常に現場を探求し、変化の兆候をすくいとり、新しい最善な道を模索しながら、”プランD”を考えていきたいと考えています。


ゴールは、ユーザーの納得度を上げること。


では、実際に行政にデザインアプローチを応用できている状態とは、どんな状態なのでしょう。

いま私たちが考えている、行政のデザインを言語化してみると、以下のような5つの項目に集約されました。

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私たちの考える行政デザイン
ー常に探索的、試行的に課題設定ができている
ー政策の実施主体とユーザーの双方が満足し、良好な関係で結ばれている
ー意図した形で政策がユーザーに届き、利用されている
ー常に改善に向けた行動をとり続け、その行動が組織内で是とされている
ーこれらを実現するため、デザインチームが組織横断的に政策立案・実行プロセスを支援している


行政にデザインアプローチを取り入れる。それによって実現したい未来のひとつは、「政策の受け取り手の納得度をあげること」だと考えています。

たとえば、ある政策を考えるときの資料を、関係する市民の方々と一緒になって考え、共に作り上げる。

たとえば、行政の情報サイトを利用するユーザーが、普段使うようなキーワードで、当たり前に、ほしい情報を検索できるようになる。

ユーザー = 政策の受け取り手の立場で物事を考え、ユーザーが行政サービスを使いやすいと感じ、自分に関係する政策に納得できている状態を創り出すことが、私たちのゴールです。


真に人にやさしい行政を目指して。


もちろん、すべての政策分野でデザインアプローチが万能にはたらくかというと、そうはいかないかもしれません。

それでも、私たちは、先例や単線の未来だけに依拠した政策立案だけでは、限界があると感じています。

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新しい道や新しい仲間を探しながら、常に課題を探索し、ユーザーと対話し、政策プロトタイプを試行し、何度も改善する。そんなプロセスを取り入れて、真に人にやさしい行政になりたい


JAPAN+Dプロジェクトのメンバーは、このミッション・バリューに対して、本気で向き合っています。そしてこれから、何十年という長期スパンで先を見通しながらも、スピード感を持ってアクションプランを実行していきます。

まずは、デザインアプローチが、どういった政策分野で、どういった取り組み方であればうまくいくのかを、試して模索してみることからスタートします。


これから、このnoteでプロジェクトの活動やメンバーを、お伝えしていきます。ぜひ、皆さまのご意見、ご感想もお待ちしています。

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JAPAN+Dプロジェクト、はじまります。