「見えないものが見えるようになった」WS の記録
はじめまして、JAPAN+Dプロジェクトチームの東條です。入省2年目で、チーム最年少メンバーです!
普段は中小企業庁経営支援課という部署で中小企業の方々の経営支援や人材育成、デジタル化等に関する業務に携わっています。
正直なところ、今までデザインとの接点を持ったことはほぼ無かったのですが、皆さんの「この世の中を良くしたい」「人として違和感を覚えるところを変えたい」というマインドに惹かれ、JAPAN+Dプロジェクトに入りました。
さて、本題ですが、前の記事でもありましたとおり、私たちJAPAN+Dプロジェクトチームは今年の2月14日、20日、28日の計3日間、様々な方々をお呼びし、ワークショップ(以下「WS」)を開催しました。
この記事では、企業の経営者、実際に中小企業診断士(以下「診断士」)の資格を持つ方々、行政職員が自由に意見交換・アイデア出しを行うことで生まれた気づきや変化について紹介したいと思います。お時間があれば、ぜひ最後までお付き合いください!
そもそも診断士ってなに?
「中小企業診断士」という名前からも想像できるとおり、中小企業の皆様に対し、主に企業の成長戦略策定やその実行のためのアドバイスを行います。中小企業と行政・金融機関等を繋ぐパイプ役や、専門的知識を活用した中小企業施策の適切な活用支援など、幅広い活動が求められています。
活動方法についても様々で、企業を辞めてプロのコンサルタントとして独立開業する診断士や、企業内で自分のビジネススキルを高めるために診断士資格を取得する企業内診断士から資格取得を最終ゴールとしている診断士など、多岐にわたります。
ちなみに最近は診断士資格の人気度も上昇しており、社会人に人気ナンバーワンの資格とも言われています!
どうしてテーマに診断士を選んだの?
数あるテーマの中から、診断士を選んだ理由。診断士は人気な資格であるにもかかわらず、女性比率はなんと3%。女性だけでなく、若者の割合もかなり低いです。知ったときはさすがに驚きました。
ここまで女性や若者が少ないのはなぜだろう…
知名度が低いから?イメージが悪いから?実際診断士が何をしているのか分からないから?
この謎を解明し、診断士をより良い資格にすることで、少しでも多くの中小企業の皆さんの支えになれないか。そんな思いから、診断士をテーマにすることを決めました。
診断士WSの進め方について
①Tさんへのインタビュー
WSの最初に行ったのは、企業内で専務をされながらも診断士資格を取得されたTさんへのインタビューです。なぜ診断士をとろうと思ったのか、診断士に求めるものは何か…そんな質問を投げかけるうちに、
「診断士に求められるものは実は知識ではなく、対等な関係の構築やソフトなコミュニケーション能力なのかもしれない」「診断士資格は、診断士試験のためだけではなく、経営者の右腕人材や後継者の勉強用資料としても使われている!」
という、意外な発見がありました。
そしてインタビューの間は、話をじっくりと聞くことも大事ですが、一瞬一瞬で感じたことや思ったことをその場で言語化し、振り返れるようにしておくことも大切です。ホワイトボードには、色とりどりの付箋があふれました!
②気づきや学び、心に残った言葉の共有・グルーピング
Tさんへのインタビュー後、皆がホワイトボードに貼ったたくさんの付箋のグルーピングを始めます。その際に意識することは、
自分が認識している分け方以外にも、無数の分け方が存在している
ことです。
例えば、下の図はどのような視点でグルーピングしているでしょうか。左側は容易に想像できますね。「アルコールかノンアルコールか」です。では、右側はどうでしょう?「盛り上がりたいときに飲むか、落ち着きたいときに飲むか」です。分け方を変えることで、意外な者同士が同じグループに属することもあるのです。
③問の設定
付箋のグルーピングが終わると、問の設定に入ります。診断士WS前後の問の変化は下記のとおりですが、「誰が、どうすることで、どうなってほしいのか」という粒度が上がっているのがわかりますね。課題設定にこそ時間をかけ、細かく設定することで、皆が共通の課題意識を持つことができ、その後のアイデア出しにも生きてきます。これもWSで得た学びの一つです!
上記の考え方を用い、私たちは多くの付箋を「ポテンシャル」と「課題」に分けました。
「ポテンシャル」には、右腕人材の育成、伴走者として走り続けられる、箔がつく、などがグルーピングされました。
一方で「課題」グループには、高圧的で上から目線、スター診断士がいない、出会いの場が限られる、などがグルーピングされました。
④自由なアイデア出し
ここでは、自由な発想でたくさんのアイデアを出します。1人5個以上が目標です。「ぶっ飛んだアイデアを出す」ということを念頭に、日々の業務とは異なる頭の使い方をし、皆で様々なアイデアを出しました。中には、「経営者と診断士がペアになり、サバイバルゲームを行う」など、一見ふざけていると思われるような斬新なアイデアもありましたが、これは「診断士に気軽に相談する入り口を作る」という観点から出た意見でした。このような斬新なアイデアが出たことを皮切りに、斬新で柔軟なアイデアが続々と出るようになりました。
⑤課題解決の方向性
上記のワークを通し、「どうすれば、企業の後継者や中小企業経営者の右腕人材が診断士資格を勉強・活用しながらビジョンを描いて経営課題を解決し、未来に向かって前向きに行動できるだろうか?」という問いに対し、「診断士に気軽に相談する入り口を作る(診断士と経営者がペアになり、課題解決ゲームに参加する・診断士版マッチングアプリ)」や、「診断士に相談するハードルを下げる(診断士と経営者が仕事に関係のない話をする会)」などの解決策が出ました。
まとめ
今回のWSで実施した、「とにかくアイデアを自由に出し、その後カテゴライズしていく(アイデアの発散・収束)」「いつもと異なる方法でグルーピングを行う(シンセシス)」というワークは、デザインアプローチという手法の一部でした。
今回のWSでは、複数の解決策を挙げるところで終わってしまった一方、政策立案にデザインアプローチを取り入れる際の流れや思考法を体験することができました。今後は、今回のWSにおける一連の流れや学びなどを積極的に日々の業務に取り入れていきたいと思います。