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デザインで、「本質的な問い」を見直す

こんにちは、JAPAN+Dの板垣です。

私は中小企業庁DX室にて、行政のDX(申請手続の電子化、データ利活用の促進等)を担当しています!
前のポジションでソーシャル・イノベーション(今まで解決できてこなかった社会課題を解決するビジネス)に関する政策を担当していた際に、ソーシャル・イノベーションを生み出す手法としてデザイン思考を勉強していたことに派生して、行政にもデザイン思考が導入されるべきという観点からイギリスやデンマークに出張したりしていた経緯もあり、JAPAN+Dの活動に参加しています。

現在中小企業庁DX室では、中小企業・小規模事業者向けの情報提供ウェブサイトの「ミラサポplus」(https://mirasapo-plus.go.jp/)の抜本的な見直しを検討しており、日々ヒアリングをしたり委託先と話し合ったりしながら、将来のミラサポplusのあるべき姿を検討しているのですが、是非デザイン思考の観点も取り入れて新しいアイディアが欲しいという思いで、ワークショップに挑みました!

このnoteでは、ミラサポplusを題材にしたワークショップで得た学び、特にデザイン思考を用いて「本質的な問い」を見直す重要性についてお話ししたいと思います!

ミラサポplusって?

ミラサポplusは中小企業・小規模事業者が活用できる支援制度(補助金等)、支援者・支援機関、事例等をまとめている各種情報ポータルサイトです。
https://mirasapo-plus.go.jp/ (ミラサポplus)

ミラサポPLUS


特に「支援制度を探す(通称「制度ナビ」)」では、中小企業・小規模事業者向けの制度(補助金等)を約1200件掲載しており、中小企業庁だけでなく各省庁や都道府県の中小企業向け制度もまとめて発信しています。制度ナビでは、事業ステージ、お困りごと、地域、業種などで制度を絞りこむことが可能で、自社に適した補助金を見つけやすくなるようにしています。

制度ナビ



問いの変化:「どうすればミラサポplusのUXを向上できるだろうか?」から「どうすれば行政・企業の双方の顔や想いが見える場とすることができるだろうか?」へ


ミラサポplusは、行政のウェブサイトとしてはわかりやすく情報提供をする工夫を行っている方ではありますが、行政組織以外のウェブサイトと比べるとまだまだ改善の余地が大きいです。
私達は、ミラサポplus(特に制度ナビ)のUXの改善について取り組めればいいなと思い、ワークショップをスタートさせました。

しかし、ワークショップの中で実際にミラサポplusを活用している中小企業・小規模事業者のお話を聞き、チームで議論していく中で、問いが「どうすればミラサポplusのUXを向上できるだろうか?」から「どうすれば行政・企業の双方の顔や想いが見える場とすることができるだろうか?」に変わっていきました

なぜそのような大きな見直しとなったのか?その背景には以下のような議論がありました

中小企業・小規模事業者の皆さんは行政との関わり方に課題を持っている
特に補助金申請時において「ハードルの高さ」がある。例えば、「自分のような企業がそもそも補助金申請をしていいのだろうか」「補助金についてわからないことを行政(コールセンター含む)に問い合わせしていいのだろうか」という点でハードルを感じている。

行政職員は、そのような、ハードルのが高いと感じておられる点を変えたいと思っている
特に補助金で中小企業対策費として予算を取っているものも多いため、大企業よりむしろ中小企業・小規模事業者の皆様に活用いただいて、ビジョン・構想を実現してほしい。

・ただし、補助金等=「行政がお金をバラまいている」として捉えられてしまうという現状を悲しく思っている
行政側の担当者としては「想い」を持って補助金の制度設計をしている。そのような想いを補助金申請者が理解したうえで申請いただくことができたとすれば、より補助金の有効活用や補助金後の成長等につながると思う。

・新政策を立案する際に、中小企業・小規模事業者の皆様に意見や課題をお伺いをすることがあるが、それ自体、行政機関も「ハードルの高さ」を感じる事がある
忙しい中で企業の皆さんから時間をいただくことに関する申し訳なさを感じる。

上記のように、深堀をして話していく中で、中小企業・小規模事業者の皆さんと行政側が、実は双方ともお互いに遠慮しあい、「ハードルの高さ」を感じていることがわかりました。
なぜそのような「ハードルの高さ」を覚えているかというと、お互いがイメージ(例えば行政側は講演に登壇している様な距離のある感じ)でしか相手を知らないから、ということも判明しました。

そこで、ミラサポplusが行政・企業の双方の顔や想いが見える場になれば、中小企業・小規模事業者にとっては補助金申請が容易になる、行政にとっては補助金の有効活用や補助金後の成長等、当初より意図していた目標達成に繋がりやすくなる、新政策立案にもっと現場で頑張ってくださっている皆さんの困りごとを反映できる、といった効果があるのではないか、是非そのような場づくりを行いたい!という話で盛り上がりました。

こういった、本当に本質的な問いを見つけることこそが、デザイン思考のワークショップの醍醐味だと思っています。

アイディア:データ利活用やミラサポplusの改善に関する場づくり


では、ミラサポplusを行政・企業の双方の顔や想いが見える場にするにはどうすればいいか?色々なアイディアが出ましたが、最終的にDX室が担当しているデータ利活用やミラサポplusの改善に関する行政と企業の対話の場づくりを行おうという方向に落ち着いています。
いきなりすべての中小企業庁施策で行政と企業の対話の場を作るのではなく、スモールスタートで、まずはDX室の担当施策から始めてみたいと考えています。

例えば、以下のような取り組みについて実施・検討しています。
PoliPoli(国民の声が行政に届くウェブサイト)を活用して中小企業庁のデータ利活用に関する意見を国民から広く募集(7/10まで募集しているので、皆様よければ是非投稿ください!)

・ミラサポplusの抜本的な改善に関するコミュニティづくり(新しい機能案やβ版のウェブサイトについて中小企業・小規模事業者や支援者にフィードバックをもらうコミュニティづくり)


上記のような取り組みを行うことで、行政と企業の対話の場づくりの第一歩、そして、ユーザー志向の政策づくりの第一歩になると考えています。
また、上記のコミュニティは「プロセスエコノミー」としても上手く機能させたいと考えており、政府の作るシステムは利用者が少ないことも多いですが、コミュニティ皆で新しいミラサポplusを作り上げることで、皆に愛される役立つシステムにしたいと考えています!

まとめ

今回のワークショップで得た本質的な問いやアイディアは実際のDX室の現在の取り組みにも繋がっており、また、今後の私の行政官人生においても忘れないようにしたいポイントでもあります。

私が現在業務外で取り組んでいるWeb3政策においてもJAPAN+Dと連携してワークショップを実施しようとしており、これからも「人にやさしい政策づくり」に取り組んでいければと思っています。